保育園の給食で大切にしていること。食べることの土台を作る時期

子どもとごはん

保育園の調理師として働いて、ずっと大切にしてきたことがあります。

安全はもちろん大前提。でも、その上で一番意識してきたのは「子どもたちが食べやすいかどうか」です。


食材の大きさ・形・硬さにこだわる

子どもの口は小さい。噛む力も大人ほどない。

だから、食材の大きさ、形、硬さは毎回気を配ります。

大きすぎると食べにくいし、硬すぎると噛めない。逆に小さくしすぎると食感がなくなる。子どもが「食べやすい」と感じるちょうどいいサイズと硬さを、いつも意識しながら調理しています。

同じ野菜でも、年齢によって切り方や火の通し方を変えることがあります。1〜2歳児と4〜5歳児では噛む力がまるで違う。それぞれの月齢・年齢に合わせた「食べやすさ」を常に考えながら仕込みをしています。


薄味でも、ちゃんと美味しく

保育園の給食は薄味が基本です。

子どもの内臓はまだ未発達で、塩分や糖分の負担を減らすことが大切だからです。

ただ、薄ければいいというわけではない。「大人が食べてギリギリ美味しい」と思える薄味を目指しています。薄すぎると子どもも美味しいと感じない。その絶妙なラインを探しながら、毎日味を整えています。

だしをしっかりとることも、薄味をおいしくする大切な工夫のひとつです。塩分が少ない分、だしのうまみで味に奥行きを出す。これは家庭の料理にも活かせることだと思っています。


苦手な食材は「存在感を消す」

しいたけやピーマンなど、子どもが苦手としやすい食材は少し小さめに切ります。

みじん切りにするほど細かくはしない。でも、あまり存在感を残さない大きさにする。
「食べたら入ってた」くらいがちょうどいい。

苦手なものを無理やり食べさせるのではなく、気づいたら食べていた、という経験を積み重ねることが大切だと思っています。

子どもが野菜を食べないのは当たり前という気持ちを持っておくと、保護者の方も少し気が楽になるかもしれません。保育園でも「食べなかった」より「今日は少し口にした」を喜ぶようにしています。


「美味しかったよ」の一言が、何より嬉しい

仕事終わりにクラスに顔を出すと、子どもたちが声をかけてくれることがあります。

「今日の〇〇、美味しかったよ」
「ピーマン、頑張って食べたよ」
「また作ってね」

この言葉が、何より嬉しいです。

苦手なものを「頑張って食べた」と報告してくれる子どもの顔を見ると、給食を作ってよかったと心から思います。

保育園の給食が完食される理由は、食材や味付けだけでなく、こうした子どもとの小さなやりとりや食の雰囲気づくりにもあると思っています。


忘れられない、卒園生の言葉

ある朝、出勤したとき、卒園して小学一年生になった男の子に声をかけられました。

「いつも美味しい給食を作ってくれてありがとうございました。これからもお仕事頑張ってください。」

小学一年生が、そんな言葉を言ってくれるとは思っていなかった。嬉しくて、この上ない幸せな気持ちになりました。

保育園の先生に「これで一年は頑張れる」と自慢したら、「長いねえ」と笑われましたが、本当にそれくらい嬉しかったです。


食べることの土台は、幼いころに作られる

保育園の時期は、食の経験を積み重ねる大切な時期だと思っています。

美味しいと感じること、食べられたと感じること、食卓が楽しいと感じること。そういった小さな経験が積み重なって、食べることへの前向きな気持ちが育っていく。

給食はその積み重ねのひとつです。

毎日作るごはんが、子どもたちの食の土台を作っている。それを意識しながら、これからも丁寧に作り続けたいと思っています。

この時期の食の経験は、家庭での毎日のごはんとも深くつながっています。離乳食・幼児食は頑張りすぎなくていいという気持ちを忘れずに、まずは「食卓が楽しい」と感じてもらえることを大切にしてほしいと思います。


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