子どもが独立すると、食卓の景色が変わります。
にぎやかだった夕ごはんが静かになって、作る量がぐっと減る。
「やっとラクになる」と思っていたのに、いざそうなると戸惑うことが意外と多かったです。
量が減ると、味付けの感覚が狂う
一番最初に困ったのは、量の感覚でした。
4人分、5人分を作り続けてきた長い年月。
鍋に入れる水の量、調味料の量、すべて体に染み込んでいた感覚が、急に使えなくなりました。
2人分で作ると、なぜか味が決まらない。
薄かったり、濃かったり。「あれ、いつもと同じように作ったのに」ということが続きました。
大人数で作るときは、多少アバウトでも全体の量でうまくまとまる。
でも少量になると、ちょっとしたズレが味にダイレクトに出てしまうんです。
慣れるまでに、少し時間がかかりました。
煮物は「たくさん作るから美味しい」
量が減って気づいたことがもうひとつあります。
煮物など、たくさん作るから美味しいメニューがある、ということです。
肉じゃが、筑前煮、切り干し大根。
大きな鍋でたっぷり作ると、食材同士がうまく絡み合って味が深くなる。
でも少量で作ると、「あれ?なんか違う」と感じることがあります。
出来上がりを食べて「こんな味だったっけ?」とちょっと拍子抜けしたこともありました。
今は、煮物は多めに作って翌日も食べるか、冷凍しておくようにしています。
逆に困るのは、みんなが集まったとき
今度は逆の悩みが出てきました。
子どもや孫たちが集まるとき、大量に作るのが難しくなったのです。
2人分の感覚が体に入ってきたところで、急に10人分を作ろうとすると、今度は量が掴めない。
「昔はあんなに大人数のごはんを毎日作っていたのに」と思うのですが、感覚はあっという間に上書きされるものなんだと実感しています。
でも、嬉しいこともある
2人になってよかったこともあります。
子どもたちが小さいころ、誰かが苦手なものがあると、なかなかそのメニューを作れませんでした。
魚が苦手、この野菜が嫌い、この味付けは食べない。
4人いればそれだけ苦手なものが増えて、自然と献立から外れていくものがあります。
でも今は2人。
「今日はあれを作ろう」と、以前は作れなかった料理を気軽に作れるようになりました。
食卓が静かになった寂しさはありますが、ごはん作りの自由度が増したのは、この時期ならではの楽しさだと思っています。
人数が変わるたびに、ごはんは変わる
子どもが生まれたとき、増えたとき、独立したとき。
家族の人数が変わるたびに、ごはんの作り方も変わっていきます。
慣れるまでに戸惑うのは当然のことで、うまくいかなくても当たり前。
新しい人数に合ったごはんを、少しずつ作っていけばいい。
2人分のごはんには、2人分のごはんの楽しさがあります。


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